こんにちは。中山POPセンター制作室です。

みなさんは年末年始どのように過ごされていましたか？

私は一冊の本を夢中になって読んでいました。

吉田修一著『国宝』

出典：朝日新聞出版

歌舞伎という芸の道に身を捧げた一人の男の生涯。

表情豊かに描かれる登場人物たちの魅力も相まって、

まるでノンフィクションのようなリアリティある物語と語り口に圧倒されました。

“芸の道は模倣から”

私もデザインの勉強を始めたときは、ひたすらお手本のトレースをしていました。

しかし、模倣は模倣でしかないことにやがて気づくのです。

同じ配置、同じ書体、同じ大きさで文字を組んでいるはずなのに

なぜか全然しっくりこない、違和感を感じる。

いうなれば、血が通っていないのです。

表面をなぞるだけではなく、自分なりの創意工夫と、

あとはひたすらに反復することでしかそれを血肉にすることは叶わない。

そのことに気づくだけでもずいぶん時間がかかったものです。

人真似から始め、やがて日本の宝と呼ばれるまでになった『国宝』の主人公・喜久雄のように

私もさらに芸を磨きオリジナリティを身につけようと、改めて身を引き締めました。

みなさんも、よければぜひ手に取ってみてください。